【フランチャイズとは】

事業者(「フランンチャイザー」という)が他の事業者(「フランチャイジー」という)との間に契約を結び、自己の商標及び経営のノウハウを用いて、同一イメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価としての加盟金やロイヤルティを支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導及び援助のもとに事業を行う両者の継続的契約関係をいいます。

 

本部事業者加盟者(経営ノウハウ、商標・商号の使用)⇔ 加盟者(加盟金・ロイヤルティの支払い)

 

具体例としては、ローソン、セブンイレブンなどのコンビニエンス・ストア、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなどのファーストフード、ドトール、スターバックスなどのコーヒーショップなどが挙げられます。

 

【フランチャイズ契約までの手続】

フランチャイズ契約まで、通常、以下の手続がとられます。

 
  • ①加盟の心構えと家族の同意
  • ②フランチャイザー本部の情報収集
  • ③本部候補の選定
  • ④本部訪問
  • ⑤加盟店の訪問
  • ⑥資金面や物件有無の確認
  • ⑦本部トップとの面談
  • ⑧加盟希望の有無の意思確認
  • ⑨法定開示書面の説明
  • ⑩物件・立地条件・売上予測の検討
  • ⑪経営計画書の検討
  • ⑫資金計画の検討
  • ⑬資金調達
  • ⑭加盟の意思決定
  • ⑮フランチャイズ契約
  •  

    以上の手続の中で特に加盟希望者が注意すべき点は、立地条件、売上経費予測についてよく検討しなければならないところです。

    なぜなら、本部の営業マンとしては、加盟店を増やしてロイヤルティをできるだけ多く取りたいことで、特に売上経費予測を甘く見積もってしまうおそれがあるからです。

    そこで、加盟希望者としては、この点をできるだけ厳しくみていく必要があります。

    また、立地条件については、加盟希望者自身が、実際に現地に行って、周辺に強力な競争相手がいないか、人の出入りが多い場所であるかをしっかりと確認する必要があります。

     

    【フランチャイズ契約書の記載事項】

    フランチャイズ契約書には、主に以下のような事項が記載されています。

     
    • ①フランチャイザーがフランチャイジーに対し、経営ノウハウ、フランチャイズ・チェン・システム、商標の使用などを付与すること
    • ②フランチャイジーがフランチャイザーから独立した事業者であり、自己の判断と責任のもとで、店舗の経営をしていくこと
    • ③フランチャイザーが売上保証をしないこと
    • ④フランチャイジーがフランチャイザーに対し、加盟金、加盟保証金、ロイヤルティを支払うこと
    • ⑤フランチャイジーがフランチャイザー指定のコンピュータシステム、情報システムを導入し、これについての使用料を支払うこと
    • ⑥店舗の設置について、フランチャイザーの定める規格、基準、建築図面に従うこと
    • ⑦開業前の店舗責任者、従業員の研修
    • ⑧開業前の商品の仕入れ、従業員の雇用、許認可の取得
    • ⑨マニュアルの貸与
    • ⑩店舗の運営、経営指導
    • ⑪店舗営業に必要な商品、原材料等の購入
    • ⑫店舗で提供される商品の製造方法、販売方法、価格体系
    • ⑬フランチャイザーが提供した営業情報の保持義務
    • ⑭フランチャイザーの事業と同種又は類似の営業ないし営業の部類に属する取引を行ってはいけないこと
    • ⑮フランチャイジーの顧客情報の保護
    • ⑯フランチャイザーによる宣伝広告活動
    • ⑰フランチャイジーが店舗総合保険などに加入すること
    • ⑱契約機関
    • ⑲中途解約
    • ⑲契約解除
    • ⑳契約終了後の措置
     

    これらは契約書に記載される条項の一例で、実際には、より簡潔であったり、逆に項目が増えることもあります。重要なのはフランチャイズビジネスを成功させるために、加盟希望者、後のフランチャイジーがフライチャイザー自社の実態に適合しているかを十分に精査・検討した上で契約を締結する必要があります。その意味で、フランチャイズ契約書は自社のビジネス・モデルや運営体制を考慮しながらフランチャイザー自身が作成することをおすすめします。

     

    【フランチャイズ契約の長所と短所】

    長所短所
    • ・未経験でも事業に参入できる
    • ・運営ノウハウの提供や経営指導が受けられる
    • ・フランチャイズ本部のブランド力が活かせる
    • ・ゼロからのスタートよりも低コストが望める
    • ・商品開発は本部が行うため、店舗売り上げの拡大に専念できる
    • ・銀行融資が受けやすい
    • ・店舗状況に関係なくロイヤルティを払い続ける義務がある
    • ・本部が定めた運営方法や仕入先に従わなければならない
    • ・別店舗で同ブランドの著しい毀損があった場合のリスク
    • ・契約期間中、外部環境に変化(ライバル店の出店等)が生じても臨機応変に対応(店舗の移転や業態変更等)できない
    • ・契約終了後も同業種での出店が禁止されていることがある
     

    【フランチャイズ契約上のトラブル】

    フランチャイズ契約においては、契約当事者がともに利益を追求した独立事業者であり、継続かつ包括的な契約であるため、以下のようなトラブルがフライチャイジー側に生じることが多いです。

     
    • ①売上予測と実際の売上に大きな差があり、経営不振が続いている
    • ②開店できなかったのに加盟金が返還されない
    • ③思ったよりロイヤルティが高かった
    • ④売上が落ちて赤字になった月に本部から知らないうちに貸付をされていた
    • ⑤自店の商圏内に同じチェーン店がオープンした
    • ⑥経営がうまくいかないので解約を申し出たら、解約違約金を請求された
    • ⑦契約を更新したいのに拒絶された
     

    以上のように、トラブルの多くはフランチャイジー側の契約内容や売上予測の認識・理解不足によるものです。なぜなら、契約書は通常はフランチャイザー側が準備した定型的契約書であることが多く、しかもフランチャイザー側が法律に詳しい傾向にあるからです。

    また、フランチャイザー側としても契約時に丁寧に説明をすればトラブルは避けられたという事態もあります。

    これらのトラブルを事前に防止するためには、契約に至る説明段階から弁護士を同席させるのが良策です。トラブルが生じてから弁護士に依頼するのも一つの手段ですが、トラブルを事前に回避し損失を最小限にしなければなりません。

    そのためにもフランチャイズビジネスの成功の介助として、弁護士に依頼することをおすすめします。

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