安く仕入れて高く売り、高く貸す、コストを減らして、高いサービスを提供する、そして、利益を得る、これらは、商いの基本です。

事業を始めるとき、誰もが、儲けよう、社会に還元しよう、世の中が便利になるようにしていこうなどのきっかけがあるものです。

では、思い立ってすぐに商いを始めることができるのでしょうか?いいえ、そんなわけにはいきません。

社員、商品、事務用品、通信機器、店舗事務所、自己資金、広告などが必要です。

これから起業するにあたっては、以下述べるように、様々な人の支援も必要となり、同時に事業の内容によっては、許可、登録、届出などが必要です。

そこで、株式会社における起業の手順を見ていきましょう。

 

【起業の手順】

  • ①基本事項の決定
  • ②定款作成、認証
  • ③資本金の払込み
  • ④登記書類作成
  • ⑤登記申請
  • ⑥各種行政への手続き
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    ①基本事項の決定
    まず、会社名(商号)を決め、事業目的を定めます。そして、資本金額や出資者、会社の機関、役員の選任方法及び任期、役員報酬、事業年度も定めます。また、会社の本店所在地も定めなければなりません。さらに、印鑑の作成も必要です。
     
    ②定款の作成、認証
    会社の基本事項を定めた「定款」を作成します。その定款の記載内容が正しいものであるかどうかを、公証役場で「認証」してもらいます。
     
    ③資本金の払込み
    発起人の預金口座に出資金を振込みます。現会社法では1円の資本金でもよいことになっていますが、健全な会社運営を果たす上では現実的ではありません。お金以外にも「物」で出資できる現物出資があります。
     
    ④登記書類作成
    会社設立登記に向けて以下の書類を準備する必要があります(会社の形体によって書類は異なります)。
     
    • ・株式会社設立登記申請書
    • ・定款
    • ・資本金の払込証明書
    • ・発起人の決定書
    • ・設立時役員の就任承諾書
    • ・役員の印鑑証明書
    • ・登記すべき事項を保存したCD-R
    • ・登記免許税貼付用台紙
    • ・会社の印鑑届出書
    • ・印鑑カード交付申請書
     
    ⑤登記申請
    資本金払込後2週間以内に、必要な書類を添えて、原則として代表取締役が法務局にて登記申請をします。法務局に申請した日が会社設立日となります。
     
    ⑥各種行政への手続
    設立登記を終えても、すぐに会社が動き出すわけではありません。従業員を雇い入れたり、社会の一員として税金等を収める体制を整える必要もあります。 そこで、雇用保険に関しては、ハローワーク、健康保険、厚生年金に関しては年金事務所への届出が、税務関係に関しては税務署、府県税事務所、市役所への届出が必要となります。 また、事業内容によっては、以下のように様々に許可、登録、届出をしなければ、その事業を開始することもできません。
     

    【各種許認可】

    許可運送業(貨物自動車運送業法)、タクシー介護タクシー(一般乗用旅客自動車運送業法)、不動産業(宅地建物取引業法)、飲食店(食品衛生法)、キャバクラホストクラブなどの接待業(風営法)、リサイクルショップ(古物営業法)、レンタカー業(道路運送法)、ゴミの収集運搬(廃棄物処理法)、一定の取引額以上の建設取引(建設業法)、旅館業(旅館業法)
    登録トランクルーム(倉庫業法)、貸金業(貸金業法)、ペットショップ(動物愛護業)
    届出民泊(住宅宿泊事業法)
     

    これらの許可等の申請手続は、行政書士へ依頼することになりますが、様々の法的規制がありますので、事前相談は、弁護士に依頼する場合もあります。

     

    【資金調達の方法】

    このように策定した事業計画を実現させるためには、出資金だけではなく、店舗事務所の賃料や改装代金、求人広告費用、事務用品や通信機器の購入代金、商品の仕入れ代金等の初期設定のための費用が必要となります。

    そして、これらの費用が自己資金で賄いきれないときには以下の方法があります。

     
    • ・自己の資産について担保設定したうえで融資を受ける
    • ・各金融機関の創業支援融資などの低金利のローンを組む
    • ・事業内容に賛同する人達に会社が発行する株式を買ってもらい、その購入代金を得る
    • ・補助金や助成金の活用
     

    【「プロ」が会社を支える】

    「必要な書類を揃えて所定の手続を踏み、出資金も確保した。オフィスもあるし、従業員もいる。」

    確かに、これで会社は活動を始めるでしょう。

    しかし、日々、対外的には大小の契約をこなし続け、対内的には労務全般に気を配り、また、社会の一員として法を遵守するのは当然、税金や保険料も収めなければなりません。これらすべてを円滑に、かつ時間をかけずに、創業者一人でやり遂げるのは至難のわざです。

    そこで、トラブルが生じた時に弁護士に迅速に動いてもらう、司法書士に役員変更、本店移転、事業目的の変更、増資などの登記申請をしてもらう、税理士に税務関係の相談や毎月の会計管理を任せる、社会保険労務士に健康保険、厚生年金保険などの社会保険の事務処理、給料計算を任せるといった対応策が必要になってきます。これらプロの人材を会社の内部組織として組み込むことは難しいことです。

    しかし、各種顧問契約であれば、いざトラブルが生じてから依頼した場合と比べて迅速に、かつ、費用も抑えられ、会社の健全な育成にとって有効であると考えています。

     

    まず、事業計画を立てます。

    この事業計画を実現させるための初期費用を含めた予算を確認して、自己資金で賄えないところは、自己の資産について担保設定したうえで融資を受ける、または、各金融機関の創業支援融資などの低金利のローンを組みます。

    そして、店舗事務所を探し、ハローワーク、デューダーなどの求人情報誌への掲載して職員を募集すると同時に、店舗事務所の内装工事が終了したら、事務用品、通信機器を購入します。

    これらの環境が整えば、商品の仕入れ、サービス提供のための社員研修をしていきます。

    それからホームページの作成、インターネットへの広告掲載をしていきます。

    これらの手続においては、個人においても可能ではありますが、これらをすべてまとめてコーディネートしていただける専門の起業支援業者が、最近では、多数ありますので、多少費用がかかりますが、これを利用することで、失敗なく、早く起業することができます。

    これらの設備が整えば、

     
    • 税務署、府県税事務所、市役所への税務関係に関しての開業届出
    • 健康保険、厚生年金に関して年金事務所への届出
    • トラブルが生じた時、迅速に動いてもらえるために法律事務所との顧問契約
    • 税務関係の相談、毎月の会計を管理してもらうために税理士事務所との顧問契約
    • 健康保険、厚生年金保険などの社会保険の事務処理、給料計算をしてもらうために社会保険労務士との顧問契約
     

    創業のための助成金、補助金があります。これらの申請は、社会保険労務士、税理士へ主に依頼することになります。

    また、事業内容によっては、以下のように様々に許可、登録、届出をしなければ、その事業を開始することもできません。

     
    • 運送業 貨物自動車運送業
    • 不動産業 宅地建物取引業許可
    • 飲食店 飲食店営業許可
    • キャバクラホストクラブなどの接待業 風俗営業許可
    • リサイクルショップ 古物商許可
    • トランクルーム 倉庫業登録
    • タクシー 介護タクシー 一般乗用旅客自動車運送業
    • 貸金業 貸金業登録
    • レンタカー業 レンタカー事業許可
    • ペットショップ 動物取扱業の登録
    • ゴミの収集運搬 一般、産業廃棄物収集運送許可
    • 一定の取引額以上の建設取引 建設業許可
    • 民泊 届出
    • 旅館業
    • 旅行業
     

    これらの許可等の申請手続は、行政書士へ依頼することになりますが、様々の法的規制がありますので、事前相談は、弁護士に依頼する場合もあります。

     

    事業をするにあたっては、当初、個人営業であったとしても、そのうち、利益が上がってきたことで節税する必要が出てきたり、また、金融機関からの融資をもっと受けたい場合には、株式会社などの法人成りをすることになります。

    会社の種類としては、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類がありますが、90%以上が株式会社の形をとっています。

    株式会社となるためには、まず、会社の根本規則である定款を公証役場で認証してもらう必要があります。その後、出資金を金融機関に預け、役員を決め、印鑑を作成した後、法務局で登記をすることになります。

    そして、事業開始にあたっては、利益が出た場合、税金を収める必要がありますので、あらかじめ税務署、府県税事務所、市役所へ、開業の届出をする必要があります。

    所得税については、会社の方で予め徴収して、税務署、市役所へおさめることになります。

    また、人を雇用するようになれば、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料を収める必要があります。

     

    店舗探しについては、信頼のおける不動産会社によく相談することになります。

    今では、広告の主流であるホームページですが、これについては、検索されやすいように作る必要があり、また、各業種ごとで内容が異なってくるので、それぞれの業種に特化したホームページ作成会社を選ぶ必要があります。

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